仕事が終わって家に帰ると、勉強しようと思っていた気力が残っていない。そんな経験は珍しくないはずです。
資格勉強を始めたい社会人にとって、最初の壁はいつも「時間がない」という問題です。
でも実際には、1日の中に使えていないスキマ時間が思った以上に眠っています。
この記事では、忙しい社会人が勉強時間を確保するための具体的な方法と、スキマ時間の作り方・使い方をまとめました。
社会人が勉強時間を確保できない理由とは
仕事・家事・睡眠だけでも1日はあっという間に終わります。
どこに時間があるのか、ピンとこない人も多いでしょう。
平日の自由時間はどのくらいあるのか
総務省の調査によると、社会人の平日の自由時間は平均2〜3時間程度です。
ただし、残業が多い職場では、これがほぼゼロになる日もあります。
「自由時間があっても、疲れて何もできない」という声もよく聞かれます。
確かに、仕事後の疲弊した状態で机に向かうのは簡単ではありません。
時間がないと感じる原因はどこにある
実は「時間がない」のではなく、「時間が見えていない」ことのほうが多いです。
スマホを何気なく眺めている時間、電車待ちの数分、昼食後の手持ち無沙汰な10分。
これらはすべて、使い方次第で勉強に変わります。
MMD研究所のデータによれば、現代人の1日のスマホ利用時間で最も多い層は「2時間以上3時間未満」です。
その一部を勉強に充てるだけでも、積み重なれば大きな時間になります。
「まとまった時間」を待つことのリスク
「今週末にまとめてやろう」と思って、結局できなかった経験はありませんか。
休日は休日で予定が入ったり、疲れが出たりして、なかなか思い通りにいきません。
まとまった時間を待つ習慣は、勉強の先送りを固定化してしまいます。
短い時間でも毎日動かすほうが、長期的には圧倒的に有利です。
社会人の平均勉強時間はどれくらいか
「自分だけ勉強できていないのかも」と感じる方も、データを見ると少し気持ちが楽になるかもしれません。
実態はどうなっているのでしょうか。
総務省データが示す1日の学習時間
総務省統計局「平成28年社会生活基本調査」によると、有業者の1日の平均学習時間はわずか6分です。
令和3年の同調査でも、週全体の学習時間の平均は7分と、大きく変わっていません。
この数字は勉強をしていない人も含めた全体平均です。
裏を返せば、少しでも勉強している社会人は、すでに平均より上にいます。
年収と勉強時間の関係
同じ調査の中で、年収別の学習時間にも差が出ています。
| 年収帯 | 週平均の学習時間 |
|---|---|
| 200万〜299万円 | 約5分 |
| 1,500万円以上 | 約20分 |
時間の差は小さく見えますが、積み重ねると大きな差になります。
「稼いでいるから勉強できる」のではなく、「勉強しているから稼げている」という側面もありそうです。
実際に勉強している人の平均時間との差
全体平均が6分でも、実際に勉強している社会人の平均は約160分という調査結果もあります。
つまり、「勉強する人」と「しない人」でくっきり二極化しているわけです。
「みんなも勉強していない」は思い込みで、勉強している人はしっかり時間を確保しています。
差がつく前に、仕組みを作ることが大切です。
勉強時間を確保するために最初にやること
「方法を知っても続かない」という人は、そもそも出発点がずれていることがあります。
最初に土台を整えることで、後の努力が無駄にならなくなります。
1週間のスケジュールを「見える化」する
まず、今の1週間を時間軸で書き出してみてください。
起床・通勤・業務・帰宅・就寝の時間帯を埋めていくと、空白が見えてきます。
頭の中だけで考えていると「やっぱり時間がない」と結論づけてしまいがちです。
紙やスプレッドシートに書き出すだけで、使えていない時間が浮かび上がります。
勉強に使える時間帯を書き出す
スケジュールを可視化したら、次は「勉強に使えそうな時間帯」に印をつけます。
通勤中・昼休み・帰宅後・就寝前など、候補を洗い出しましょう。
全部をやろうとする必要はありません。
まずは1〜2か所に絞るほうが、現実的に続きます。
目標から逆算して1日の必要時間を決める
たとえば宅建士の試験まで3か月あり、目標勉強時間が300時間なら、1日約3.3時間の計算になります。
この数字と今の生活を照らし合わせることで、どこに時間を作るべきかが明確になります。
目標時間が決まらないと、スキマ時間をどれだけ使えばいいかも判断できません。
「何時間勉強するか」を先に決めることが、時間確保の出発点です。
資格勉強に向いている時間帯はいつか
「朝がいい」「夜のほうが集中できる」と色々な意見があります。
どちらが正解かは人によって違いますが、傾向はあります。
朝に勉強するメリットと向いている人の特徴
資格受験生・合格者を対象にした調査では、平日のまとまった勉強時間として「朝」を選ぶ人が約7割にのぼります。
朝は脳が休息後でリフレッシュされており、ドーパミンとアドレナリンの分泌量も多い時間帯です。
また、朝は「急な残業」「飲み会の誘い」などの邪魔が入りにくいというメリットもあります。
夜の勉強が続かなかった人は、朝型に切り替えてみる価値があります。
夜に勉強するときの注意点
夜の勉強が向いているのは、帰宅後でも比較的元気が残っている人や、夜型の生活リズムが定着している人です。
ただし、疲労が蓄積した状態での勉強は効率が落ちやすいです。
夜に勉強する場合は、時間を決めて「やるべきこと」を絞ることが重要です。
「とりあえず机に座る」だけでは、疲れて終わる日が続きます。
朝・夜どちらが合うかの判断基準
次の2点で判断するとシンプルです。
- 夜、帰宅後に30分以上集中できているか? → できているなら夜型でOK
- 夜の勉強が3日以上続かなかった経験があるか? → あるなら朝型を試す価値あり
大事なのは「どちらが良いか」より「自分がどちらなら続けられるか」です。
続かない方法を無理に続けるより、生活に合わせた時間帯を選びましょう。
通勤時間を資格勉強に使う方法
日本人の平均通勤時間は片道約40分です(2016年総務省統計局調査)。
往復で約80分。この時間を勉強に使えれば、毎日の学習量はまったく変わってきます。
電車・バスで使えるスマホアプリや教材
電車の中でテキストを広げるのが難しい場合でも、スマホ1台あれば学習できます。
一問一答アプリや電子書籍は、移動中の学習に特に向いています。
宅建・簿記・FPなど多くの資格では、専用の学習アプリが提供されています。
紙のテキストより手軽に取り出せるので、スキマ時間との相性が抜群です。
音声学習が向いている勉強内容
満員電車でスマホ画面を見られない場合は、イヤホンを使った音声学習が有効です。
講義音声・オーディオブック・ポッドキャストなど、耳で学べるコンテンツは増えています。
音声学習に向いているのは、「理解が必要な内容のインプット」や「暗記の反復」です。
初見の内容より、すでに一度読んだ内容の復習に使うと定着率が上がります。
立ちながら・歩きながらできる学習の選び方
歩いているときや立っているときは、画面を見るのが難しい状況もあります。
そういった場面では、単語や用語を音声で聞き流す学習が合っています。
一方、計算問題や記述式の内容は、集中できる環境で取り組むほうが効率的です。
「この移動時間には何をやるか」をあらかじめ決めておくと、迷わず始められます。
昼休みを勉強時間に変えるコツ
昼休みは「休む時間」と割り切っている人も多いですが、うまく組み合わせれば学習時間に変わります。
全部勉強に使う必要はなく、食事の後半や待ち時間を活用するだけでも十分です。
昼休みに何分確保できるか把握する
まず自分の昼休みが実質何分あるかを確認してください。
1時間の休憩でも、食事・移動・着替えなどを引くと、使える時間は限られます。
15〜20分が勉強に充てられるなら、十分な学習量になります。
週5日なら週75〜100分、月20日なら月300〜400分の積み上げになります。
職場でやりやすい勉強の形式
テキストを広げにくい職場環境では、スマホの一問一答アプリが使いやすいです。
目立たずできるので、周囲を気にしなくて済みます。
昼休みは「新しい内容のインプット」より「復習・確認」に向いています。
午前中に頭に入れた内容を昼に振り返ると、記憶の定着率が上がります。
昼の眠気と集中力の関係
昼食後の13〜14時台は、眠気が出やすい時間帯です。
この時間帯に難しい内容に取り組もうとすると、集中が続きにくいです。
眠気が出やすい時間は、暗記系・確認系の軽いタスクに充てるのが現実的です。
ガッツリ集中が必要な勉強は、朝や夜のほうが向いています。
スキマ時間を無駄にしない時間別の使い方
「スキマ時間に何をすればいいかわからない」という人は、あらかじめ時間ごとに内容を決めておくと迷いがなくなります。
長さに合った学習内容を割り当てることが、スキマ時間をフル活用するコツです。
5分でできる勉強タスクの例
- 一問一答アプリで5〜10問解く
- 前日に学んだ用語を声に出して確認する
- 暗記カードをめくる
5分は短いように感じますが、これが1日に4回あれば20分になります。
繰り返し出てくるスキマ時間を、小さな学習単位で埋めていくイメージです。
10〜15分で取り組む内容の選び方
10〜15分あれば、少し踏み込んだ学習ができます。
- テキストの1セクションを読む
- 動画講義の短いチャプターを1本見る
- 過去問を数問解いて解説を確認する
この時間帯は「1つのことだけ完結させる」ことを意識してください。
中途半端に終わると、次に再開するハードルが上がります。
30分あるときに進めるべきこと
30分確保できれば、まとまった学習が可能です。
新しい単元のインプット、演習問題を一通り解く、間違えた問題の復習など、より深い学習ができます。
30分のスキマ時間を「貴重な勉強セッション」として扱うことが大切です。
スマホを触りながら半分使ってしまうのと、集中して使い切るのでは効果が全然違います。
勉強時間を増やすための生活習慣の見直し方
勉強時間を「作る」には、今使っている時間を一部「振り替える」必要があります。
大きな変化は必要なく、小さな見直しから始めるのが続くコツです。
スマホ・SNSの利用時間を把握する
iOSの「スクリーンタイム」やAndroidの「Digital Wellbeing」を使うと、1日のアプリ使用時間が確認できます。
多くの人が、SNSや動画視聴に1時間以上を使っていることに気づきます。
その時間を全部削る必要はありません。
1日30分だけ勉強に回すと決めるだけで、生活の質を大きく下げずに学習時間が生まれます。
家事・移動にかかる時間を短縮する工夫
食洗機・乾燥機・宅配サービスなど、時間を買えるサービスを活用する方法もあります。
毎日30分の家事が15分に減るだけで、月に約7.5時間の学習時間が生まれます。
また、通勤ルートを見直して移動時間を短縮すると、体力の消耗も減ります。
時間管理は「増やす」だけでなく「減らす」視点も同じくらい大切です。
睡眠時間を削らずに時間を作る方法
睡眠を削って勉強時間を確保しようとすると、翌日の集中力が落ちて逆効果になります。
睡眠は勉強効率に直結するため、削らないことが基本です。
代わりに見直せるのは「なんとなく使っている時間」です。
就寝前のスマホタイム、テレビをなんとなく見ている時間などを、少しずつ学習に振り替えましょう。
資格勉強を毎日続けるための習慣化のポイント
「やる気があるときだけ勉強する」スタイルは、長続きしません。
やる気に頼らず、仕組みとして回せるようにすることが大切です。
「場所」と「行動」をセットにして動き出しをなくす
「電車に乗ったらアプリを開く」「昼食が届くまでテキストを読む」のように、場所や状況と勉強をセットにします。
これにより「今日やろうかどうか」という判断が不要になり、自動的に学習が始まります。
行動のきっかけを「やる気」ではなく「状況」に依存させることが習慣化の核心です。
何かのついでに勉強が始まる仕掛けを作ると、継続率が大きく上がります。
勉強量より勉強する「時間帯の固定」が先
毎日勉強する時間帯を固定すると、体がそのリズムに慣れていきます。
「7時から30分は勉強の時間」と決めてしまうと、考えなくても机に向かえるようになります。
最初は量を増やそうとしなくて大丈夫です。
まず時間帯の固定だけを目標にして、量はあとから調整してください。
三日坊主を防ぐ小さなルール設定
「毎日1問だけ解く」「アプリを開くだけでもOK」くらいの低いハードルを設定します。
ハードルが低いと、疲れている日でも「一応やった」という実績が積み上がります。
「完璧にやれた日」より「少しでもやれた日」を積み重ねることが、長期的な合格への道です。
ゼロの日を作らないことが、習慣化の最重要ポイントです。
勉強時間が短くても成果を出す集中法
時間が短いからこそ、1分1分の密度を上げる工夫が必要です。
短い時間での集中法は、実は社会人の勉強スタイルにとても合っています。
15分単位で区切るタイムプレッシャーの活用
習慣化コンサルタントの古川武士氏が提唱する「短時間細切れ集中法」では、15分ごとに締切を設けることを推奨しています。
「1時間で4ページ」より「15分で1ページ」と決めるほうが、集中力が高まります。
タイムプレッシャーがあると、人は自然と無駄を省いて動き始めます。
15分という単位は、社会人のスキマ時間とも相性がいい区切りです。
ポモドーロ・テクニックの使い方
ポモドーロ・テクニックとは、25分の集中+5分の休憩を1セットとする時間管理法です。
1セットが30分なので、昼休みや帰宅後のまとまった時間に取り入れやすいです。
スマホのタイマーをセットするだけで始められます。
「25分だけ集中する」と決めることで、腰の重さが軽くなる効果もあります。
短時間に合う教材・学習形式の選び方
スキマ時間に向いている教材と、まとまった時間が必要な教材は分けて考えましょう。
| 学習形式 | スキマ時間向き | まとまった時間向き |
|---|---|---|
| 一問一答アプリ | ◎ | △ |
| 動画講義(15分以内) | ◎ | ○ |
| 過去問(本番形式) | △ | ◎ |
| テキスト精読 | △ | ◎ |
| 音声講義 | ◎ | ○ |
短時間の積み上げと、まとまった学習を組み合わせることで、効率が最大化します。
資格別の目安勉強時間と1日の割り振り例
資格によって必要な総勉強時間は大きく異なります。
試験日から逆算して、現実的な1日あたりの時間を設計することが重要です。
宅建士・簿記・FPなど人気資格の総勉強時間の目安
| 資格 | 目安の総勉強時間 |
|---|---|
| 宅地建物取引士(宅建士) | 300〜500時間 |
| 日商簿記2級 | 200〜350時間 |
| FP2級 | 150〜300時間 |
| ITパスポート | 100〜150時間 |
| TOEIC(スコアアップ100点) | 200〜300時間(目安) |
これらはあくまで目安であり、学習経験によって前後します。
独学か通信講座かによっても変わるため、参考値として使ってください。
試験日から逆算した1日あたりの時間設計
宅建士を例に取ると、試験まで6か月(約180日)あって目標が300時間なら、1日あたり約1.7時間の計算です。
この1.7時間を「朝30分+通勤40分+昼休み20分」などに分散させれば、十分現実的な数字になります。
「1日何時間勉強するか」を先に決めてから、スキマ時間をどこで埋めるかを考える順番が効率的です。
平日と休日の勉強量バランスの考え方
平日は1〜2時間、休日は2〜4時間というバランスで設計している合格者が多いです。
休日にまとめて取り返そうとするより、平日に毎日少しずつ積み上げるほうが記憶に残りやすいです。
休日に多少まとまった時間が取れる場合は、平日にインプットした内容の総復習や、まとまった演習に充てると効果的です。
「平日はスキマ、休日はまとめ」のリズムを作るのが、働きながら資格に合格した人に多いパターンです。
よくある質問
1日15分しか取れなくても資格に合格できますか?
資格の難易度によりますが、1日15分でも毎日続ければ半年で約45時間になります。
ITパスポートなど比較的取得しやすい資格であれば、十分なスタートになります。
宅建士や簿記2級のようにより多くの時間が必要な資格は、通勤・昼休みなど他のスキマ時間も組み合わせて合計時間を増やしていく必要があります。
「15分しかない」ではなく、「15分でやれることは何か」という発想の転換が大切です。
仕事が忙しい時期は勉強を休んでもいいですか?
休んでもいいですが、「完全ゼロにしない」ことを意識してください。
繁忙期でも5分だけアプリを開く、移動中に音声を聴くだけでも、習慣の糸を切らない効果があります。
長期休止すると、再開するまでのハードルが上がります。
量を減らして続けることのほうが、「休んで再開する」より結果的に効率的です。
朝型に変えるにはどうすればよいですか?
いきなり2時間早起きしようとすると挫折しやすいです。
まず15分だけ早起きを1週間続け、慣れたらさらに15分早める方法が無理なく続きます。
就寝時間を先に固定することも重要です。
朝起きられない最大の原因は、夜更かしによる睡眠不足であることがほとんどです。
スキマ時間の勉強だけで合格した人はいますか?
資格受験生・合格者の約7割が隙間時間の工夫をしているというデータがあります。
スキマ時間だけで合格した人も一定数いますが、難関資格になるほど、スキマ+まとまった時間の組み合わせが一般的です。
スキマ時間は「復習・確認・暗記」に使い、まとまった時間は「新しい内容の理解・演習」に使うと、両方が機能します。
勉強のやる気が出ないときはどうすればいいですか?
やる気が出るのを待っていると、いつまでも始まりません。
「2分だけやる」と決めて始めると、脳が勉強モードに切り替わりやすくなります。
これは「作業興奮」と呼ばれる現象で、動き始めることでやる気が後からついてくる仕組みです。
やる気は行動の「原因」ではなく「結果」として現れることが多いです。
まとめ
社会人の勉強時間は、探せば必ずあります。
通勤・昼休み・朝の時間帯など、1日に散らばっている小さな時間を組み合わせると、1〜2時間の学習時間は十分に作れます。
習慣化の面では、「やる気があるとき」に頼らず、場所や状況に学習をひもづける仕組みが効果的です。
最初から完璧を目指さず、毎日少しでも動くことを最優先にしてください。
資格試験に向けて学習を本格化するなら、目標とする資格の総勉強時間から1日の必要時間を逆算することを先にやってみてください。
スキマ時間をどう使うかの判断もしやすくなり、勉強計画全体が具体的になります。
