資格勉強を始めると、必ずぶつかる悩みのひとつが「ノートを作るべきか、作らないべきか」ではないでしょうか。SNSを開けば「ノートは時間の無駄」という意見と「ノートを作らないと頭に入らない」という意見が同じくらい並んでいて、結局どっちなんだ…と混乱しますよね。
実は私も、まったく同じところで足踏みしていました。私は昨年、社会人をしながら独学である国家資格に合格したのですが、その勉強期間中、ノート作りで盛大に失敗もしましたし、逆にノートに救われた場面もありました。
この記事では、両方を実際に試して見えてきた「ノートを作るべき場面・作らなくていい場面」を、体験ベースでお話しします。あなたの勉強スタイルに合う答えを見つけるヒントになれば嬉しいです。
資格勉強でノートを作る派・作らない派、それぞれの言い分
まず前提として、独学界隈には大きく2つの派閥がある気がしています。
ひとつは「ノート作り推奨派」。手を動かして書くことで記憶が定着する、自分専用のまとめがあると安心、という主張です。もうひとつは「ノート不要派」。ノート作りは時間がかかる割に効果が薄く、その時間を問題演習に回したほうが伸びる、という考え方です。
私も勉強を始めた当初、どちらの意見を信じればいいのか本気で悩みました。本屋に行けば「合格者のノート術」みたいな本が並んでいて、SNSでは「ノート作りは自己満足」という投稿が流れてくる。情報が多すぎて、自分の勉強より先にノート論で消耗していました。
結論から言うと、どちらが正解ということはなく、「何のために作るのか」が全てだと感じています。目的がはっきりしていればノートは強力な武器になりますし、目的が曖昧なまま作ると、ただの時間泥棒になります。
これは私が経験した資格に限らず、宅建や簿記、FP、社労士など、どの資格を独学で目指している方にも当てはまる感覚だと思います。
私がノート作りで盛大に失敗した話
恥ずかしい話ですが、私は最初の1ヶ月、典型的な「ノート作り沼」にハマっていました。
平日の夜と週末を使って、市販テキストの内容をほぼ丸ごとノートに書き写す作業をしていたんです。色ペンを3色使い分けて、図解も丁寧に描いて、見出しも整えて。気づけば3週間で50ページほどのノートが完成していました。
完成したノートを眺めると、達成感はものすごくありました。でも、ふと冷静になって考えたんです。「これだけ書いたのに、過去問が全然解けないのはなぜだろう」と。
実際に過去問に手を出してみると、書いたはずの内容が頭から抜けていて、正答率は3割程度。3週間かけて作ったのは、知識ではなく手の運動の記録だったんですね。
このとき強く感じたのは、「ノートを作ること」と「内容を理解すること」はまったく別の作業だということでした。テキストを書き写している間、私の脳はほとんど働いていなかったんです。
これは資格の種類を問わず、独学者なら誰でも陥りやすい罠だと思います。きれいなノートが完成すると勉強した気になりますが、実際には作業の達成感と学習の成果は比例しません。
「作らない派」に切り替えて変わったこと
試験まで残り4ヶ月を切ったとき、私は思い切ってノート作りをやめました。代わりに採用したのが、テキストへの直接書き込みです。
具体的にやったことはシンプルで、テキストの余白にメモを書き、重要箇所にマーカーを引き、疑問点は付箋を貼って後で調べる、というだけ。情報を一冊に集約するイメージです。
すると驚いたことに、週単位で進む範囲がそれまでの2倍以上になりました。ノート作りに使っていた時間がそのまま読解と演習に変わったので、当然と言えば当然なのですが、効率の差を体感したのはこのときが初めてでした。
書き込みのルールとして、私は「テキスト1冊に全部書き込む」と決めていました。あちこちに情報が散らばると見返すのが面倒になり、結局見なくなるからです。
情報を一元化する場所を一つに決める。これがノートを作るかどうかより、よほど大事だったと今は感じます。
この「一元化」という考え方は、どの資格勉強でも応用が利きます。テキストでも、ノートでも、タブレットでもいいので、自分が最終的に戻る場所を一つに絞ること。それだけで勉強の動線がぐっとシンプルになります。
それでも私が作り続けた「2種類のノート」
「ノート不要派に転向した」と書きましたが、正確に言うと、すべてのノートをやめたわけではありません。試験までの間、私は2種類のノートだけは作り続けていました。
1つ目:間違いノート
A5サイズの薄いノートに、過去問や模試で間違えた問題のポイントだけを簡潔にまとめたものです。問題文をそのまま書くのではなく、「自分が何を勘違いしたか」「正しい考え方は何か」を1問あたり3行以内で書きました。
これを通勤電車の中で1日10分眺めるだけで、同じパターンのミスが目に見えて減っていきました。試験直前の2ヶ月間で作ったページ数はわずか30ページほどでしたが、本番直前に見返す資料としても重宝しました。
弱点だけに絞った薄いノートは、どの資格でも応用できる方法だと思います。全部を網羅しようとせず、自分のミスにだけフォーカスするのがコツです。
2つ目:スキマ時間メモ(デジタル)
暗記が苦手な分野について、Google Keepに短いメモを残していました。スマホで開けるので、待ち時間や昼休みにサッと確認できるのが利点です。
紙のノートを持ち歩くのは正直しんどいですが、デジタルメモなら荷物にもなりません。私は紙ノートとデジタルメモを用途で使い分けるスタイルに落ち着きました。
「紙かデジタルか」の二択ではなく、両方をいいとこ取りする発想は、社会人の独学者にこそ向いていると思います。
ノートを作るか決める3つの判断軸
ここまでの体験を踏まえて、私が「ノートを作るかどうか」を判断するときに使っていた基準を3つ紹介します。あなたの状況に当てはめてみてください。
判断軸1:勉強に使える時間
平日に1〜2時間しか取れない社会人の場合、ノート作りに時間を割く余裕はあまりありません。私の場合、平日は1日1時間半ほどしか勉強時間が確保できず、ノート作りを続けていたら間違いなく間に合いませんでした。
時間が潤沢にある人なら作る価値はありますが、時間が限られているならテキスト書き込み+間違いノートで十分だと感じます。
判断軸2:暗記比率の高さ
資格によって、理解中心のものと暗記中心のものがあります。暗記比率が高い資格なら、自分なりに整理し直すノートが効くことがあります。
ただし、これも「テキストの目次を作り直す」程度で済むことが多く、フルスクラッチで写経する必要はないと思います。
判断軸3:自分の性格タイプ
書かないと覚えられないタイプの人は、無理にノートをやめる必要はありません。逆に、書くこと自体が目的化しやすい人(私のような人)は、意識的にノート作りを制限したほうがいいです。
自分がどちらのタイプか自覚することが、ノート術選びの一番のスタート地点だと感じています。
最後にひとつ補足です。試験直前期、不安に駆られて私は「総まとめノートを今から作ろう」と思い立ったことがありました。結果、3日で挫折し、ただ時間を失いました。不安解消のためのノート作りは、ほぼ確実に失敗するというのが私の結論です。これも他の資格を目指す方にお伝えしておきたい教訓のひとつです。
まとめ
長くなったので、要点を整理します。
・ノートを作る派・作らない派に正解はなく、「目的」がすべて
・テキスト丸写しの写経型ノートは時間対効果が低い
・情報を一元化する場所を一つに決めることが、ノートを作るかより重要
・「間違いノート」と「スキマ時間メモ」は、どの資格でも有効
・判断軸は、勉強時間・暗記比率・自分の性格タイプの3つ
私自身、最初の1ヶ月をノート作りで丸ごと無駄にした経験があるので、同じ失敗をしてほしくないという気持ちでこの記事を書きました。ノート術は手段であって、目的ではありません。あなたが今挑戦している資格でも、「何のために書くのか」を一度立ち止まって考えてみてください。きっと自分なりの答えが見つかるはずです。
